灰色の煙で汚れた街を、鉄の塊が猛スピードで駆け抜ける。
その胎内では、息をする間もないほどに詰め込まれたホモ・サピエンスが、喪服の葬列さながら、黒のスーツに身を包み、規則正しく揺れている。
彼らは目の前の座席が空席になるかどうかにしか興味を持たない。
彼らは隣人の給与と不倫の話にしか耳を貸さない。
彼らの瞳は、ある一時期のダイヤモンドのようなきらめきを忘れ、この街を汚す灰色の煙と同じ色に染まっている。
「例え世界が僕を拒もうとも、僕は僕であり続けたい。」
昔聞いたロックバンドの歌詞の一部が、懐かしさと共に思い出される。
ふぅ。